ClearのUIに関するモヤモヤとした雑感

iPhoneのアプリClearのUIが斬新だと話題なので、勉強のために入手してみた。感想を先に言うと、確かに新しいが、適当なメタファーがないため直感的でなく、学習コストが高い。つまり、使いづらい。この新しいUIとそれを取り上げる人々が多いことが何を暗示しているのかよくわからないので、モヤモヤな雑感を書きだしてみた。

Clear for iPhone - Available Now! from Realmac Software on Vimeo.

Clearはリリース前からこの動画が話題になってましたね。リリース後、「あの話題のClearが!」って感じでアンテナの尖った人たちがこぞってみんなDL。お手本みたいなTeaserはすごい。動画がかっこいいの重要だな。

ともあれ。

モヤモヤポインツ

画面遷移が掟破りの縦スクロール

Apple純正のUIは基本、左 [<] が戻る、右 [>] が進む(詳細へなど)、という横スクロールのインターフェース。一方、Clearは動画を見ても分かる通りの、縦スクロール。最上部の画面に設定など、次の画面がタスクグループのリスト、最下部の画面がタスク一覧。各アイテムを左or右にスワイプすることで様々なアクションが行える。各ページにはアイテムリストの箱が並ぶだけで、今どこにいるのか、この上が、そしてこの下に何があるのかちっともわからん。

スワイプすることで何が起きるかちっともわからん

操作の基本は上下左右へのスワイプおよび、スワイプする長さによって行われるアクション。上下左右に何があるのか、スワイプしたら何が起こるのかが画面内に全く明示されていない。「上にスワイプする」というアクションはその始点と長さによって、上画面への遷移/ページ内スクロール/選択したアイテムの並べ替えの3つに切り替わる。この感覚をつかむのに一苦労。たぶん私は一般的なアプリのお作法が身についていたから、「オーバースワイプで上画面への遷移」っていう、UIを理解できたのではないか。

間違いやすいUIのくせにUndoがない。

右スワイプしたら削除。さようなら。永遠に。orz...

操作したらアクションごとに全部違う音がなるフィードバックは良い

たんたかアクションを繋げていったら素敵なリズムを刻めそうな音は官能的で素敵。ただし、その音と意味を覚えたらね。

適切なメタファーがなくて直感的じゃない

一般的なUIの横スクロールのメタファーは本だ。左右にページを繰り、ページ内は縦に読み進んでいく。iPhoneの写真アプリのように右へ右へと新しいページを捲るように写真を閲覧できるUIは、子供にもお年寄りにも簡単に使える。

一方、縦スクロールのメタファーってなんだろう?ゼビウス?タスクを倒す系の縦スクロールシューティングToDoゲームだったら、今頃絶賛記事を書いていたかもしれない。

ピンチアウトして子タスクが作れる、は何だろう?畳まれた紙?わからん!

チュートリアルが足りない

全く斬新なUIなので、HELPとかTRICKSみたいな説明文置いといて終了、ではなく、ゲーム感覚で使い方を体に叩きこませるチュートリアルがあればよかったのかもしれない。

えー、例えば、ソルバルウが出てきてですね。前方のタスクグループにザッパーで対空攻撃をばしばし当てつつ、地上の子タスクをブラスターで破壊とかですね。たまに以下略。

この学習コストの高さは狙ってのことだとは、思う

いまとなっては、機能が削ぎ落されて洗練された「Clear」のUIは
魅力を放っているが、その初期のアイデア段階では、ナヴィゲーショ
ンバーもあったし、「新規追加ボタン」もあったし、ほかにもよく見
かける機能がたくさん付いていたのだという。だが、フィル・リュウ
は開発者との最初の打ち合わせで、そのすべてを取り除き、一から考
え直すことを提案した。

from 一夜にして世界中を席巻したiPhoneアプリ「Clear」の裏側 WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム

おそらく開発者は上に書いてあるような疑問は全部わかっているはず。当初はもっと「(既存のUIに慣れた)ユーザフレンドリー」志向だったことが読み取れるから。

そして、実際には様々な贅肉を削ったことがソフトウェアを尖らせ、話題になった。最初は(この記事を書く私のように :P )OLD TYPEな人たちからの反発も多いだろう。「これがないなんてありえない」、「今までと違うから直感的でない」と非難されるそれは、まるでAppleのようだ。だが、受け入れられると一気にそれがメジャーになる。

卑近な例だと、Twitterアプリなどによくある「オーバースワイプで再読み込み」も、「引っ張ったらもっと出てくる」というトイレットペーパーみたいなメタファーが直感的で支持され、いろんなアプリに広がった。

今のところ、ClearがAppleや「オーバースワイプ」のように市民権を得るかはわからないけれど(可能性はだいぶ薄いと思ってます)、が、みんな注目しているからしばらくは注目していましょう、という感じかな。

うん、たぶん、私は過剰に尖りきったオレオレ節を押し付けるアプリが苦手なのかもしれない。デフォルトでもエレガントに設計されているにもかかわらず、かつ偏執狂的にカスタマイズの余地が残っているアプリが好きだからな!どれとは言わないけれど。

※この記事は、@fshin200さんの、「F's Garage @fshin2000 ClearのUIを考えてみた」の記事を読んで、私もいろいろ意見が出来てたので書きました。Thanks!

関連記事

前の記事へ

だめー、ぶぶー、じゃんねんー!

次の記事へ

リブログを盗用にしないためのTumblrへの一つのリクエスト