ベテラン広報が隣にいてくれるような本 点を線にするPR術を学ぶ『話題にしてもらう技術』

去年のある日。PR会社ビーコミ代表の加藤恭子さんから「広報に関する本を書いている」という話を聞いたとき、「待ってました!というかもっと早く出して欲しかったくらい!」と思ったのでした。

というのも、私は広報なりたての2000年代半ばから恭子さんウォッチャーだったから。

20年近く前から恭子さんはオンライン(ITmedia オルタナティブブログの「きょこ コーリング」やTwitter寄稿記事など)やイベントで、広報ノウハウや苦労話や界隈の噂話も含め発信し続けています。

学びを発信することで業界や同業のみんなに貢献し、リスペクトを得て人脈を広げ、さらに活動の幅を拡げていく。恭子さんは、そんな広報活動を行う姿を今もずっと見せてくれています。加藤恭子さんは、私が最も影響を受けた「発信する広報」です。

その恭子さんの本なのですから、読まない選択肢はありません。リリース直後にKindle版を購入して即読み始め、その後、恭子さんから紙の書籍も一冊贈っていただきました(ありがとうございます!)。

点を線にする広報術

この本の一番大事なポイントは「点を線にする広報術」だと、私は思います。一発大きな花火を打ち上げて息切れする(=ビジネス系TV番組や経済誌に掲載されたが、タイムリーな施策を打てず機会損失し、その後も話題が続かない)ではなく、製品リリースやマーケのプランと足並みを揃えた露出獲得を狙うための準備や手法について丁寧に書かれています。

露出手法としてコントロールが難しいメディアリレーションだけでなく、露出内容もタイミングも調整可能なオウンドメディアとSNSの活用についても踏み込んで書かれているのも、現場をよくわかってる恭子さんならではの視点です。

失敗談豊富 広報の転ばぬ先の杖

広報活動で悩んだとき、手元にこの本があるっていうのが心の支えになりそうです。広報の役割も、プレスリリースの基本も、活用すべき5つ道具も、疲弊しない広報戦略も、慣れていないと気付きにくいよくある落とし穴も全部書かれています。

そうそう、現場でよくある勘違いや過剰な期待や罠や息切れや失敗談が豊富なのもこの本の特徴です。落とし穴にハマる前に、転ばぬ先の杖になってくれます。

忙しい人は付録「ストーリーでわかるPRの取り組み方」だけ読もう

ノウハウがぎっしり詰まった本ですが、頭から全部読もうとすると大変かもしれません。忙しい人は全部飛ばして、付録のSaaS系企業社長主導の広報立ち上げストーリーを読むことをオススメします。この付録はいわば、小説形式の本書の索引です。

新人社員が広報に抜擢され、広報アドバイザーに助けてもらいながら、独り立ちするまでの1年間が20P程度で短く書かれています。小説内ではさらっと触れられているそれぞれの取り組みについては、詳しく解説されている本編への誘導が多数あるので、気になるところだけツマミ読みすると良さそうです。

以上、『話題にしてもらう技術 ~90.5%の会社が知らないPRのコツ』、広報担当はもちろんですが「話題にする」広報機能を会社に立ち上げたい経営層も必読でした。

書籍情報

話題にしてもらう技術 ~90.5%の会社が知らないPRのコツ
2022年11月4日紙版発売
加藤恭子 著
四六判/272ページ
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
ISBN 978-4-297-13087-9

1章 話題になるためには何が必要?
2章 話題をどうやって届けるか
3章 疲弊しないで話題になり続けるには
4章 1人でPRを抱え込まない体制のつくりかた
5章 話題になりたいけど炎上が怖い! 何をすればいいか

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