「学びを支援」より先に、「学ぶ余裕作り」を支援してほしいよね
先日の参院本会議での岸田首相の答弁が「賃金上昇に向け 産休・育休中の“学び直し”を「後押し」岸田総理」と報じられ、これに対してSNS上でたくさんの批判コメントを見ました。
批判の主旨は「産休&育休中は、育児で必死。学び直しなんかする暇あるかい!」。私も脊髄反射ではそう思いました。でも記事を読む限りでは、岸田首相が語っているのは以下だけ。
「育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押しして参ります」
ふむ。「様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々を国として支援すること」は、良いことに聞こえます。
で、問題はその「状況」です。産休中は新生活準備してたらあっという間に終わるし、育休中は髪振り乱して育児に大わらわ。じっくり勉強する暇などない人が大半だと思います。一方で、少数かもしれないけれど、赤ちゃんがすんごいよく寝てくれるとか、同居のご家族の手助けがあるとか、心技体に優れた超人だったりして学ぶ時間をなんとかして作れる人もいる。
そういった育児中でも学ぶ時間を作れる一部の人の学びだけ支援すればいいの?と考えるとそれは違うと思うのです。
学ぶ余裕のない状況の解決が先かも
「学びを支援」の前に、育児に限らずですが「学ぶ余裕のない状況の解決を支援」する方が先なのでは、と思うのです。例えば、ケアすべき家族がいる人にとっては保育・介護支援の充実が必要だし、自分自身の心身の課題とも共存しながら学べる仕組み(オンラインで学べる仕組み、増えてますね)が必要です。
国会で言われている「学びの支援」が具体的に何を指しているのかわからないけれど、もしも「スクール受講料金補助」的なピンポイント支援だと、教育産業が儲かるだけになってしまいそうな懸念もあります。スクールも玉石混交ですしね。
学んだ後のことも大事です。専門分野の最新情報をキャッチアップしておいてスムーズに復職、昇進や昇給に繋がる資格取得、といったわかりやすいゴールがあれば良いです。ですが、学びを新たなキャリアにつなげたい人には、学んだことを活かしてかつ学び続けながら働ける場所があるかも大事です。
まとめ
コロナ禍や国際関係の変化や歴史的な円安やAIの進化などで、ここ数年ほんとうに社会がダイナミックに動いているし、新しいことを学ばないとついていけないというのはそれはそれでその通りだと思うのです。「リスキリング」が流行語にもなるわけです。
だからこそ、学びたい人が学べる余裕作りから支援してもらえると良いなあと思ったのでした。